交通量の多い国道沿いの住宅地。このような場所に古い廃医院があるのかと、半信半疑になりながら狭い路地を歩いていく。先ほどの喧騒が静まり返ると、そこには確かに廃医院が残っていた。
下見板張りの心躍る外観。保存状態の良い廃医院が、人知れず残っていることに感動を覚える。
玄関の庇には、廃墟マニア垂涎の「簡易保險指定醫」の琺瑯プレートが健在である。
受付と投薬口の小窓。シンプルでとても良い。
淡い緑色で統一された医院内。優しい色使いは、患者の緊張感を和らげてくれる。
外観が良くとも、中はもぬけの殻という廃医院は多い。この廃医院の薬棚には、大量の薬瓶が並んでいた。荒らされること無く、これ程の量が残っているのは大変珍しい。
硝酸ストリキニーネ。過去に殺人事件で使用されたこともある劇薬である。現在では主に、動物の殺処分に用いられるという。
瓶から薬品が溢れ出ている。あまり近づかない方がいいだろう。
日光による薬品の劣化を防ぐため、調剤室は窓が少なく薄暗い場合が多い。しかし、この調剤室の陽当たりは良好だった。
壁に掛けられた「小兒衛生糞便標本」。我が子の糞便と見比べ、病気を患っていないか判断するための標本だという。ちなみに蝋細工で出来ている。
メインの診察室へ。大きな上げ下げ窓のおかげで、陽当たりがとても良い。
未使用のまま放置された大量の注射針。
小部屋のような場所はレントゲン室だった。古い廃医院では、レントゲンの機器がそのまま残されていることも珍しくはない。
分娩台と木製の診察台がある。診療科目が、産婦人科であるということがはっきりした。
屋根裏部屋には、薄い手術台のようなものがあった。明治医院で見たものとよく似ている。
これは關澤醫院で見たことがある。中身は空っぽだ。
廃墟評価
美しさ ★★★★★
残留物 ★★★★★
危険度 ★★☆☆☆
珍しさ ★★★★★
到達難易度 ★★★☆☆
総合評価 ★★★★★
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