江戸時代の風情が色濃く残る杵築の城下町。杵築城を中心とした南北の高台には、武家屋敷が建ち並び、塩屋の坂と酢屋の坂に挟まれるように商家が集う谷町通りがある。このような凹凸のある町並みは「サンドイッチ型城下町」と呼ばれ、国内唯一の珍しい城下町である。
観光客で賑わう城下町には目もくれず、人通りの少ない裏路地へとやって来た。洋風のファサードを拵えた建物が、今回の目的地である近藤産婦人科だ。明治30年(1897)築。元々は「旭楼」という料亭だったが、物好きな医者の手に渡り、産婦人科医院へと転用されることになる。昭和63年(1988)頃までは診療を続けていたといい、隣には新たに増築した入院病棟が残っている。明治築の文化的にも価値がある建物だが、見放されるように放置されている。
小さな部屋には本が並んでいる。床の段ボールにも本がぎっしり詰められていた。読書家だったのだろう。
0コメント